カーナビゲーションシステム開発の方向性が変化してきた。これまでは「ドライバーに見せる地図」の開発に主軸が置かれていた。見栄えの良さ、3次元表示の多彩さがカーナビを評価する指針になっていた。
それが、ここにきて「クルマを制御するための地図」に開発者の関心が急速にシフトしてきたのだ。
純正市場の競争力が焦点
ただしカーナビを使った車両制御は今に始まったことではない。各社がいくつかの機能を実用化している。それでも、開発者がカーナビの車両制御に注目し出したのは、カーナビ市場の変化が一つの要因だ。
将来的にはドライバーの「走る・曲がる・止まる」の基本操作を、カーナビが補助してくれるのであれば、クルマが進化する可能性は高い。
カーナビの位置付けが「表示」重視から「制御」重視に変わってきている理由として、市場の変化が挙げられる。純正品のニーズは高く、一方の市販品は頭打ちになっている(図)。
この傾向が続くなら「カーナビメーカーは純正市場でいかに競争力のあるものを作れるかが問われることになる」(パイオニア事業企画部プロジェクト推進課副参事の川健一氏)。富士通テンも「カーナビの売り上げは純正が65%を占める。純正市場を強く意識している」(第一事業部担当部長の佐古和也氏)との意向だ。
市場変化の要因は、カーナビが社会に浸透したことも影響している。「カーナビを一部の先進ユーザーだけが持っていた時代は市販品が売れていた。今は誰もがカーナビの便利さを分かっている。多くの人が新車購入時にカーナビ付きのクルマを選ぶようになったことで市販品の位置付けが下がってきた」(パイオニアの川氏)と背景を説明する。
カーナビの純正率が増えているということは、自動車メーカーにとってもカーナビを使った車両制御に取り組みやすい環境がそろいつつあるともいえる。これまで以上に新車開発時からカーナビを活用した魅力的な機能を持たせることができる。
図●国内カーナビ市場の推移
純正市場が大きく伸びているのに対し、市販市場は頭打ち。2004年度は見通し。パイオニア調べ。
カーナビでクルマを制御する
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