将来のクルマはどんな形をしているのか?
どんな技術がいつ実用化されるのだろうか。
それが業界構造に与える影響は?
マッキンゼー・アンド・カンパニーとドイツDarmstadt工科大学は共同で、2015年の自動車業界を予測した。
その中心の議題は、自動車技術の進化により、バリューチェーン(業界構造)が今後10~12年でどう変わるかだ。
250社以上の自動車関係企業にインタビュ−し、
将来技術のコストと市場浸透率について聞いた。
2/3が欧州に拠点を置くメーカーで、残りの1/3が北米とアジアのメーカーだ。
新技術の誕生により自動車技術はどう変化していくのだろうか。
そしてその変化にどのように対応すべきなのだろうか。
過去10年間、自動車業界は前例がないほどに多くの製品を送り出してきた。クルマの市場は世界中に及んでいる。その結果、コストに対する圧力は強まり、部品メーカーにも影響している。完成車メーカーはより少数の、関係の近い部品メーカーと仕事をするという傾向を強め、大きな整理統合の波が部品業界を覆っている。この結果、過去5年間に、自動車部品メーカーの数は世界中で劇的に減っている。
能は増えるが価格は変わらず
一方、新車の購入者は常に新しい機能を求める。特にコンパクトカーでこの傾向が強い。
しかしながら、今後10年間の新車価格は、インフレを考慮すると現在のレベルと変わらないだろう。この傾向は現在でも明白で、ドイツBMW社の高級車「7シリーズ」は近年価格が下落しており、中型車のMercedes-Benz「Cクラス」や、コンパクトカーのドイツVolkswagen社「Golf」の価格もほとんど上がっていない。
1990年以降、インフレ調整後のGolfの価格は、0.7%上昇しただけだが、同期間に標準装備はずっと良くなっている。例えばそれはエアバッグ、ABS、横滑り防止装置「ESP」や、より出力の向上したエンジンだ。
安全や快適性に関する新機能を開発するその一方で、コスト削減も求められる。この二つをうまく切り抜けた企業だけが、業績を伸ばすことができる。過去には、優れた事業オペレーション(高い従業員の生産性や卓越した納期など)が明白な競争力だった。将来もそれは必要条件ではあるが、十分条件ではない。今後はバリューチェーンの構造改革が必要で、それができる企業だけに新技術への投資が可能になる。バリューチェーンの変化は、生産性を向上させる新技術に対応して起きる。自動車の新技術が、構造変化を誘発するのである。
世界のメーカーに聞く2015年の自動車技術
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