日経オートモーティブ イベントレポート

第11回ITS世界会議
カーナビの進化系は
安全走行システム

世界の技術者が集まる「第11回ITS世界会議」が2004年10月中旬に名古屋市で開催された。安全走行システムの将来像としてカーナビを中核としたシステムに注目が集まった。現在のカーナビは、安全走行システムとは分かれているが、カーナビメーカーは次世代システムでこれらを統合したいと考えているようだ。このほか既存のセンサを活用した低価格な車線維持支援システムの提案もあった。

 今回が第11回目となる「ITS世界会議」では、カーナビを用いた安全走行システムの出展が目立った。カメラで車両周囲の対象物を認識し、必要に応じてカーナビ上でドライバーに警告するというもの。現在のシステムでは、プリクラッシュセーフティなどが独立したシステムになっている。これらをカーナビを中心としたシステムにしようという狙いだ。
 この背景についてカーナビメーカーの担当者は「カーナビの可能性が地図データの高精度化や使い勝手の向上だけにとどまらないことを示したい」と説明する。
 パイオニアは、インパネ中央に17型という大型のモニタを備えたコンセプトカーを出展した。中央の液晶画面に、車速やエアコンの動作状態などを表示し、これらの情報のうち優先度の高いものをステアリング前方に配置した専用のモニタに表示する。インパネの左右にはサイドミラーのカメラがとらえた後側方の映像を映し出す。走行時に車線を移動する場合、後側方にクルマが走っていることを認識するとドライバーに警告する仕組みだ。
 富士通テンもカーナビを中心とした安全走行システムのコンセプトカーを出展した。車載カメラが、道路上の車線や信号、歩行者などを認識し、自車がカーナビが示すレーンと異なるレーンにいる場合は、正しいレーンに戻るよう警告する。道路の分岐点で異なるレーンに進んでしまうというようなミスなどを防げる。また、カメラによる画像認識機能を使うことで、進路上の信号が赤の時には、アクセルを踏むと減速するように警告する。このほか、カーナビとオーディオの連携機能も備えており、海岸沿いを走行する時は、海に合った曲を自動的に再生する。

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図●ITS世界会議の開幕式
日本での開催は、1995年の横浜以来約10年ぶり。写真中央にいるのは、世界のITS代表者とテープカットをする日本組織委員会会長の豊田章一郎氏。