日経オートモーティブ 新車レポート

TOYOTA Mark X
スポーティなデザインで
セダン復活につなげる

トヨタ自動車は2004年11月、「マークII」の後継となるセダン「マークX(エックス)」を発売した。マークIIとしては、1968年の発売から10代目となる全面改良だ。今回、セダン市場復活への期待を込めて、未知数を示すX(エックス)を名称に付けた。マークIIユーザーの平均年齢は58歳と高齢化していたことから、スポーティさを強調するデザインで若い世代の取り込みを狙う。

 「ユーザーを若返らせたい」。これがマークXのターゲットだった。ユーザーの平均年齢を、現在のマークIIよりも一世代低い「ポスト団塊」(40歳代後半~50歳代前半)まで引き下げ、マークIIの衰退を何とかくい止めたいという狙いがある。想定ユーザー層は、子育てを終えた夫婦。助手席と運転席に同等の快適さを持たせることで2人のドライブを楽しめるようにした。機能面では、新開発の6速AT(自動変速機)、白色LEDを採用した室内照明、助手席ドアノブのオーディオスイッチなどが目新しい。

セダン市場の衰退は本当か?
 マークIIの名称を改めたのは、セダン市場の縮小を受けてのこと。ユーザーのライフスタイルが多様化し、ミニバンやコンパクトカーにセダンのユーザーが流れた結果、各社合わせた国内でのセダンの月間平均販売台数は、2000年の7万3400台から2003年には5万2000台にまで落ち込んだ(同社調べ)。
 これに伴ってマークIIの販売も激減した。月間販売台数は1990年代は2万~3万台だったのに対して、直近ではこの1/10にまで減った。
 これに危機感を募らせたのは販売店だった。「マークIIを新しい名前で仕切り直して欲しい。今の延長線上では生き残れないとの声が上がっていた」とトヨタ自動車 商品開発本部第1トヨタセンターチーフエンジニアの山本卓氏は説明する。

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図●新型セダン「マークX(エックス)」
上級セダン「クラウン」と同じプラットフォームを採用しながらも、フロントフードを長くとることでスポーティな外観にした。ボディサイズは全長4730×全幅1775×全高1435mm、ホイールベースは2850mm。クラウンとホイールベースの長さは同じだが、全長は110mm、全幅と全高は5mそれぞれ短くした。