日経オートモーティブ Market Watching

中国の自動車市場が失速する?
背景には新モデルの減少と、価格引き下げ

 成長を続ける中国の自動車市場だが、ここにきて先行きを否定的に見る報道が増えている。2004年11月24日の朝日新聞では、供給過剰による値下げが、さらに消費者の買い控えにつながる悪循環に陥っていると伝えている。同年11月1日の日経新聞でも、広州本田汽車の総経理の談話として、公用車の購入が滞ったことから消費マインドが冷え込み、価格競争につながっていると指摘している。
 米国の自動車調査会社CSM Worldwide社の調査によると、中国市場は確かに減速している。2002年3月以来、26カ月連続で成長してきたが、2004年5月に減速し始め、2004年は230万台と前年よりも低い成長率で終わりそうだ。成長に急ブレーキがかかった原因としては、政府の経済成長抑制策、自動車ローンにも影響するローン統制、新聞報道にあるような価格引き下げ、そして渋滞の深刻化、ガソリン価格の上昇など、様々な原因が考えられる。特に見逃せないのが、2004年は新モデルが2003年よりも少なかった点だ。
 2004年1月~9月の間に売れたのは、いずれも近年に発売されたばかりのモデルだ。奇端汽車の「QQ」やホンダ「フィット」、「マツダ6(日本名:アテンザ)」、GM社の「Buick Excelle」は2003年に登場したモデルだ。一方で売れていないドイツVolkswagen社「Passat」や奇端汽車の「Cherry Fengyun」、フランスCitroen社「Elysee」などは発売から3~5年経過したモデル。2004年は新車の数自体が少なく、ヒットしたモデルもあまりなかった。
 また、落ち込んでいるのはD、Eセグメントの中~高級車。A、B、Cセグメントについては、いまだに良好な成長を続けている。例えば、Aセグメントの2004年9月の販売実績は、昨年比55%増。1-9月というレベルで見ても、Cセグメントは17%増えている。ガソリン高騰についても、2003年7月以降販売台数は、上昇しており、影響は限られているようだ。

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図●2002年3月以降、26カ月続いていた成長は、2004年5月を境に減速