日経オートモーティブ 技術レポート

スズキ・スイフト
世界4カ国で生産開始
足回りは欧州仕様

スズキ「スイフト」は、日本、ハンガリー、インド、中国の4カ国でほぼ同時に生産を開始する。同水準モデルを生産するためには、4カ国で最適な部品を調達する必要があった。例えば高張力鋼板も日本では580MPa級が簡単に手にはいるが、他の国でもそうとは限らない。

 スズキが2004年11月1日に発売したコンパクトカー「スイフト」は、日本、ハンガリー、インド、中国の4カ国で年間25万台を生産する世界戦略車だ。軽自動車市場ではトップメーカーのスズキも、社内には強い危機感があるという。一つには少子化に象徴されるような日本の人口の減少。国内市場が縮小していく中で、軽自動車という枠組みにしばられている限り、世界の市場で勝負できるクルマは作れない。スイフトは軽自動車の延長線上から離れ、欧州メーカーのコンパクトカーをベンチマークに「本気で作った」コンパクトカーだ。
 旧型スイフトは軽自動車「Kei」のプラットフォームを改良して使っていたが、新型はプラットフォームを新設計し、車体は旧型比でねじり剛性を1.3倍、曲げ剛性を2.3倍に高めた。フロントサスペンションは、サブフレームにステアリングギヤボックスやロアアームを取り付けた構造とした。リアサスペンションはトーションビーム式とすることで、旧型スイフトよりもばね下質量を軽減している。

3ドアはハンガリーのみ
 3ドアボディは日本では生産せずに、ハンガリーのマジャールスズキだけが生産する。理由は需要の違い。欧州でもドイツ、フランスでは3ドア比率が高く、他車の例では45%~50%が3ドアというケースもあったという。一方、イタリア、スペインなどでは、5ドアが多くなる。

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図●スズキのコンパクトカー「スイフト」
ボディサイズは全長3695×全幅1690×全高1510mmで、ホイールベースは2390mm。旧型スイフトと比べ、ホイールベースを30mm延長したほか、トレッドをフロントで65mm、リアで95mm拡大し、安定したハンドリングや乗り心地とした。スタイリングの安定感も増している。