日経ものづくり プロジェクト管理

第2回 メトリクスが活用できる仕組み作り

必要最低限のデータを収集し
基本形となるモデルを作成

石橋良造

アジレント・テクノロジー R&Dプロセスコンサルティング

メトリクスは,マネジメントがアクションを取ることができるような管理指標であり,うまく活用することでプロジェクトの質を大幅に向上できる。今号は,メトリクスを利用したプロジェクト管理の仕組みをどのように構築するかを解説する。その仕組みの土台となるのは五つのフレームワーク。これらの中身を正確に把握した上で,プロジェクトの実行時に取り込む必要がある。(本誌)


 前号ではメトリクスの概要,プロジェクトの可視化の重要性を説明した。本号は,メトリクスを利用したプロジェクト管理の仕組みを構築する方法を解説する。(1)プロジェクト管理サイクル(2)WBSとアクティビティー(3)基本メトリクスセット(4)基準モデル(5)予実差管理—の五つ(基本フレームワークと呼ぶ)を,プロジェクト管理の仕組みに組み込むのだ。

プロジェクト管理サイクル
 メトリクスを使ったプロジェクト管理サイクルは(1)基準モデルを使って見積もりを作成する(2)可視化のための実績データを収集する(3)予定と実績の差を進ちょくメトリクスによって管理する(4)開発終了後,基準モデルを改善する—という流れだ。
 大切なのは,このサイクルをすべてのプロジェクトで実行すること,サイクルの各ステップで適切な方法論,技法・手法,ツールを使うことだ*2。徒手空拳で仕組み作りをすることは可能だが,大変な時間がかかる。まずは,技法・手法を導入し,確実に仕組みを運用できるようにするべきだ。
日経ものづくり プロジェクト管理
図●アクティビティーとWBSによる2次元管理
開発作業は「アクティビティー」と「WBS」の2軸で特定できるように分解する。見積もりや進ちょく管理に関してもこの2軸で実施する。