日経ものづくり 詳報

エネルギ効率が向上する
携帯電話機向け燃料電池

1mLのメタノールから1Whの電力量

 2007~2008年の実用化を目指し,開発が進んでいるダイレクト・メタノール方式の燃料電池。そのエネルギ効率が高まってきた。KDDIと東芝,NTTドコモと富士通研究所(本社川崎市)という二つの陣営が,燃料電池を使った携帯電話機向けの充電器を新たに試作した。共に高濃度のメタノールを空気極で発生する水で薄めて発電に使う点が特徴だ。
 KDDIと東芝が試作した外付け式の充電器は,定格出力が1Wで「1mLのメタノール燃料から1Whの電力量」というエネルギ効率(DC-DCコンバータの効率も含む)を実現(図)。メタノール1mLが持つエネルギは4.9Whであるため,同効率を20%程度まで向上させた。
 もっとも,東芝の場合,ウエアラブル電子機器への適用を想定した出力100mWの燃料電池を以前に開発済みで,それも上記のエネルギ効率を達成している。出力の大きい燃料電池で,同様のエネルギ効率を実現した点が新しい。

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図●KDDIと東芝が共同で開発している燃料電池を使った携帯電話機向けの充電器
(a)は試作済みの外付け式のもの,(b)は2005年度末の完成を目指して開発している内蔵式のもの。