薄型テレビ,パソコン,DVDプレーヤ,デジタル・カメラ,音楽プレーヤ--。家庭のデジタル機器に,無線インタフェースが搭載される日が近づいている。HDTV映像の無線伝送や,携帯機器での静止画や楽曲コンテンツの高速なやりとりを無線で実現するというものだ。

 無線インタフェースの有力候補は2つある。1つは,MIMO(multiple input multiple output)技術による空間多重伝送を前提にした次世代高速無線LAN「IEEE802.11n」,もう1つがWireless USBなど超広帯域を利用する無線技術「UWB(ultra wideband)」である。200mといった長距離伝送が可能な11nは,家庭内ネットワークのバックボーンでの利用が有力視されている。一方のUWBは低消費電力かつ高速であることを生かし,パソコンや携帯機器を中心とした近距離の機器間接続が想定されてきた。

 無線インタフェースに対する機器メーカーの関心は高い。「現行無線LANではHDTV映像を送れない。HDTV映像を安定して伝送できる11nに,大変期待している」(東芝 テレビ事業部 TV商品企画部 商品企画担当 課長の松本健治氏),「USBが出てくる前後では,周辺機器の使い方が大きく変わった。USBが無線になれば,もう一度周辺機器の使い勝手に,大きな変化が起きるだろう」(関西のある大手家電メーカーの技術者)といった声だ。