日経ものづくり 組み込みソフト玉手箱

第7回 精神論だけで品質は向上できない

情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター
田丸喜一郎

●組み込みソフトの占める地位は,さらに増加した
●ソフト技術者の数は増えたが,依然として不足気味
●品質重視の経営が品質の高いソフトを生む傾向

 最近,家内が新型の体重計を買ってきた。脂肪率や基礎代謝量なども一緒に測れ,数カ月分のデータも記憶できるタイプ。肥満傾向にあるのを改善しようとの意図である。
 急激に成長している組み込みソフトもある意味で肥満傾向にあり,体質改善が求められている。それを確実に進めるための道具の一つ,組み込みソフトの体重計が「組込みソフトウェア産業実態調査」。本連載の初回に経済産業省の2004年版調査から幾つかのデータを紹介したが,2005年6月20日に最新の「2005年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書」が公開された。
ソフトの重要性は増す一方
 機械製品の中で,組み込みソフトが約4割を占める,と本連載の初回で紹介した。技術者の数,開発費用,製品出荷後の不具合率など各種の指標の約4割が組み込みソフトで占められていることを表したものである。最新の調査データでは,組み込みソフトが占める割合はさらに増加する傾向を見せており,「4割以上」と言い直す必要があるかもしれない。

日経ものづくり 組み込みソフト玉手箱
図●組み込みソフト技術者は若い
組み込みソフト技術者の約2/3が30歳台前半以下であるのに対して,機械技術者や電気技術者では,その比率は4割以下となっている。(経済産業省「2005年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書)