日経ものづくり 材料力学マンダラ

第7巻
ボルト締結部を設計する(I)

広島大学大学院教授 沢 俊行


●ボルトの強度区分は「8.8」「10.9」がオススメ
●フランジのボルト中心円直径はできるだけ小さめに
●選んだボルトが接合条件を満たさなければ呼び径を変えろ


 前号の最後に,2本のボルト・ナットで締結された,引っ張り荷重を受けるT型フランジ締結体に関する宿題を出しました(図)。考えていただけたでしょうか。
 宿題は,引っ張り荷重Wを60kNとしたときのボルト締結設計。具体的には,ボルトの呼び径,強度区分,ボルトの位置c,初期締め付け力の最適値を求めよ,というものでした。ただし,条件があります。(1)引っ張り荷重W作用時に接合面が開かない(2)接合面における平均面圧σ1が1MPa以上(3)ボルトのねじ部公称応力が降伏応力以下(ねじ谷底の応力集中を考慮しない)(4)繰り返し引っ張り荷重Mの作用によってボルトが疲労破壊しない─。前回触れませんでしたが,T型フランジ締結体のウエッブは当然壊れないものとします。
日経ものづくり 材料力学マンダラ
図●T型フランジ締結体のボルト締結設計
引っ張り荷重W=60kNが作用したときのボルトの呼び径,強度区分,ボルトの位置c,初期締め付け力の最適値を求めよ。