日経ものづくり 現代ものづくり考

ホームプロジェクタ

リビングで家族が,仲間が,
シアター感覚を楽しむ

高村 敦(電通・消費者研究センター 主管)

 ホームプロジェクタが静かな人気だ。2002年度の国内市場規模は3万2000台だったが2004年度は6万3000台(見込み),2005年度は2002年度の3倍を超える10万台の大台に達するのではと期待されている(主要メーカー予測から電波新聞社推計)。
 かつてはホームプロジェクタといえば,映画や音楽ファンのお金持ちが主要購入者で,しかも防音処理を施した専用ルームに本格的なオーディオシステムをそろえた「豪華ホームシアター」で楽しむもので,我々庶民とは懸け離れた世界といった感があった。事実数年前,会社を経営していた親の遺産を継いだ友人宅に筆者が招かれた際,自慢げに案内された部屋はまさにそのものであった。
 しかしご安心を。昨今のミニブームを支えているのはそうしたリッチピープルではなく,オーディナリーな人々である。普及の背景にあるのは他の家電同様,テクノロジーの進化による高性能化と低価格化である。実売20万円程度の普及モデルでも720p(pはプログレッシブの意)のハイビジョン映像対応を実現。また1000lmを超える明るさで,真っ暗な専用ルームでなくともリビングで十分楽しめ,マニア層からファミリー層へのすそ野の広がりを後押ししている。このほか,薄型の大型テレビは高くて手が出ないため,比較的割安なホームプロジェクタを購入するという層もいるようだ。
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ホームプロジェクタの「LP-Z3」(右上,三洋電機),「TH-AE700」(左上,松下電器産業),「PJ-TX100J」(右下,日立製作所),「TDP-MT700J」(左下,東芝)