「『出荷後の機器が不具合を起こす。どうやらソフト・エラーが原因のようだ。何とかならないか--』。ここ最近,こんな相談が機器メーカーから寄せられるようになった」(SRAMメーカーの担当者)。

 トランジスタが物理的に壊れたわけではない。電源電圧や温度が変動したわけでもない。それなのに,まれにLSIが動作不良を起こすことがある。その原因の多くは,ある種の放射線が起こすソフト・エラーとみられている。

 その影響がじわりと多くの機器に広がり始めている。冒頭のSRAMメーカーの担当者の元には,OA機器やPOS端末,製造装置などのメーカーから,ソフト・エラーを指摘する報告が相次いで届いているという。もはやソフト・エラーは,大容量ルータやサーバ機,飛行機や医療機器など,とりわけ高い信頼性が必要な一部の機器の設計者だけが直面する問題ではなくなった。今後,自動車やデジタル家電などでも,対処が求められるケースが出てくる可能性が高い。