久多良木 健氏
ソニー・コンピュータエンタテインメント 代表取締役社長兼グループCEO

--「プレイステーション(PS)2」のときは,黒が印象的でしたが,今回はシルバーが基調なんでしょうか。

 お披露目に当たり,シルバーと白,黒の3色のモックアップを用意しました。日欧米のコンテンツ開発者や流通チャネルの方々の意見を伺ったところ,地域差なく,大方の人がシルバーを推奨してくださったんです。実は私自身もこれがお気に入りでして。それには歴史的な理由があります。

 1994年に「PS」を発売した時は,やはり任天堂さんの「ファミコン」が主流でした。そこに負けないゲーム機を作りたかった。だから色や形を決める上でもファミコンを意識したのは事実です。2000年にPS2を発売した時,大切だったのはAV機器との調和です。DVDの再生機能にもこだわったし。ゲーム機がゲーム機でなくなるために,テレビの周りにいつも置いてほしかった。

 PSは,使うときだけ,くるくるくるってコントローラをひもといて出してきて,遊び終わるとしまっちゃう存在だったんです。それじゃ嫌だった。いつもテレビの横にあるのは家電。家電っていえば黒ですよね。だから,PS2では黒にこだわった。「PS3」は,AV機器もコンピュータも超越する。今度は模範がない。今までにないコンピュータの形は何か,そう考える中で行き着いたのがこのデザインなんです。

くたらぎ けん
1975年,ソニーに入社。ゲーム機市場への参入を経営陣に直訴,自らも出資し,ソニー・コンピュータエンタテインメントを設立した。「プレイステーション」「プレイステーション 2」,そして「プレイステーション 3」の開発に当たって陣頭指揮を執る。