機器の筐体内でボード間やLSI間をつなぐ光伝送に「光が当たる日」が迫っている。こうした用途に向けた光伝送技術はかなり長い間研究されていたが,これまでは実用には程遠いとされてきた。しかし,この状況は2010年前後に大きく変わりそうだ。光ファイバを使った通信で培われた伝送技術が,一気に筐体内に押し寄せるためだ。応用先は高性能のサーバ機やルータなどの通信機器に限らない。携帯電話機などの民生機器にも光伝送がほぼ同時に浸透を始める可能性が高い。

 こうした流れは,光伝送の要である受光素子や発光素子などの開発にも大きな影響を与える。コスト低減の要求が厳しくなることから,従来の化合物半導体ではなく,CMOS技術と親和性の高いSi系材料を用いた低コストの受発光素子や光導波路の開発が加速する。筐体内の光伝送に向け登場する安価な受発光素子は,程なく筐体外の光通信にも用いられるようになる。この結果,従来とは逆に,低コスト化の波が長距離通信分野へと波及していく。