日経ものづくり キラリ輝く中小企業

DLCのふくはうちテクノロジー

常温成膜駆使し多様な材質に進出
基礎と応用両方で巧みに産学連携

 ペットボトルに入った温かいお茶を飲む─。深緑のこの季節にはさすがに目にしなくなってきたが,冬にはあちこちで見られたごく日常的な光景。今でこそホット飲料入りのペットボトルは珍しくないが,店頭に並ぶようになったのはここ数年のことである。
 ペットボトルは軽い,持ち運びしやすい,フタを閉められるなどさまざまなメリットを持つ半面,熱に弱い。特に温かいお茶を入れる場合には,耐熱性に加えて優れたガスバリア性が要求される。温度を上げると,お茶が酸素を吸収しやすくなるからだ。耐熱性とガスバリア性の問題から,ペットボトルはホット飲料を充てんする容器には向かないとされてきた。
 こうした常識を覆したのが,例えば伊藤園が2000年に発売した温かい「おーいお茶」。そのペットボトルの内側には,DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)がコーティングされていた。無論,高い耐熱性と優れたガスバリア性を確保するために。そして現在,そこには東京は大田区に本社を置くふくはうちテクノロジーのDLC技術が生かされている。

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●DLCの構造
ダイヤモンドとグラファイトの中間的な構造を持つ。