日経ものづくり ITコンサル日記

自己保身に走る担当
倫理教育から必要か

大黒 天馬 Ooguro Tenma
1964年生まれ。愛知県出身。大学卒業後,大手輸送機器メーカーに入社し,主に海外工場の生産システム立ち上げに従事。その後,SCMコンサルタントに転身,現在は大学講師,国内外企業へのITコンサルテーションなど幅広く活動中。


 ある企業のSCM改革を支援して半年がたった先月,久しぶりにその企業を訪問した。訪問の目的は,次のステップとなる業務改革を開始するに当たって,現状の実態を確認すること。つまり,半年前の業務改革がどこまで現場に浸透し,実力として根付いたかどうかを評価することだった。
 事前にもらった報告書には,SCM改革はこの半年間で順調に浸透し,作業もシステムも新しい業務に沿って運営していると書かれていた。すっかり安心して訪問したのだが,実際にはとんでもない事実が待ち受けていた。
 業務改革を推進する上で最も重要なことは,いかにしてユーザー一人ひとりが業務改革の骨子を理解するかである。骨子さえ理解できれば,例外的な事情などの枝葉の部分は,個々の知恵で対処することができる。
 前回のSCM改革でも,この方針を貫いて推進したが,なんと,この半年間で知恵が浅知恵と化していたのだ。
 販売に連動して最適な購買を実現するSCM改革には,的確に在庫を把握することが運用の前提となる。そのためには日々の入出庫を管理することが必要不可欠な要素となる。