日経ものづくり ドキュメント

レジェンドの開発 第5回

夜の秘密兵器

「レジェンド」の商品化に向け,
それぞれが課題解決に動きだした。
各部門の思惑が交錯する「パッケージ検討会」では,
開発総責任者の齊藤政昭が絶妙のリーダーシップを発揮し,
メンバー全員のベクトルを一つに合わせる。
インテリアデザインの懸案だった
3次元形状の本杢パネルも,量産のメドが立った。

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「天童木工さんから電話があったのか。で,できるって?」
「レジェンド」の開発を束ねる齊藤政昭に,インテリアチームから懸案のM字形に流れるインスツルメント・パネルに関する電話報告が届く。
「そう,それは良かった。一安心だ。じゃあ,これまでの路線で引き続きお願いします。このことは,私の方から,ほかのメンバーにも伝えておきますから」
 デザイン界にその名をはせる天童木工の協力を取り付け,レジェンドにふさわしい,本杢を使った斬新で高級感あふれるインテリアデザインの実現のメドがようやく立つ。課題が一つ解決した。
 しかし,齊藤には息抜く暇など全くない。レジェンドの開発課題はまだまだ山積みなのだから。連日,課題ごとに設けた分科会に顔を出しては指示を出していく。昨日も,そして今日もだ。どの分科会だっけ。手帳を開いてスケジュールを確認していると,再び電話が鳴り響いた。
「はい,齊藤です」
「お忙しいところすみません。私は,電装系部品の開発をしている辻と申します。実は,齊藤さんにぜひ見ていただきたいものがありまして,お電話しました」