日経ものづくり アイデアコーナー

TOTO編(2) 薄型アルカリイオン水生成器

隔膜なくし厚さ1/2以下に

 アルカリイオン水生成器は水道水を電気分解して飲料用にpHの高い水を生成するもの。家庭にも普及し始めたが,キッチンに設置する卓上型は,設置スペースの制約から販売機会を逃したり,設置後にも作業スペースを圧迫したりといった問題があった。
 従来の構造では薄型化も限界。そこで,電気分解するための「電解槽」の構造を薄型化した「アルカリスリム」を開発した。厚さは,41mmと従来製品(約100mm)の半分以下。水栓金具の背面などにも設置可能となった(図)。
 アルカリイオン水を生成する原理は,陽極と陰極の間に流した水を電気分解するという単純なもの。陽極では水素イオン濃度が高い酸性水と酸素が,陰極では水酸化物イオンの濃度が高いアルカリイオン水と水素が生じる。アルカリスリムは,電極間の流れを層流化させることで2種類の水の混流を防いでいる。
 従来は,陽極と陰極の間に隔膜を設けて混流を防いでいた。隔膜はごく薄い樹脂だが,電極と接触すると耐久性や分離の性能が悪化するため,樹脂製の部材で保持して電極の間隔を約 3.5mm設けてあった。電極間隔が大きいと,生成に必要な電流を流すのに必要な電力も増える。そこで電極面積を広げて電力を抑えるため,電極を5枚重ねて積層化しており,これが製品の薄型化を難しくしていた。

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図●薄型アルカリイオン水生成器
厚さは41mm。場所を取らないため,シンクの縁や蛇口の後ろなど狭い場所にも設置できる。