ドイツInfineon Technologies AGが,携帯電話機の送受信機能の大半を統合したLSIを開発した。実装面積や部材コストの削減を目的に,無線(RF)回路とベースバンド処理回路をCMOS技術で1チップに集積したものである。CMOS技術の微細化が進み,トランジスタの遮断周波数(fT)や最大発振周波数(fMAX)が数十GHzに到達したことが実現を後押しした。送受信機能を統合する手法としては,1パッケージに複数のチップを格納するマルチチップ・モジュールなどの手法もある。しかし歩留まりや実装寸法などの点で,1チップ集積の方が優位であると同社は判断した。CMOS技術を活用することで,価格の点でも利点があるとする。今回の開発品の詳細や,これを支える実現技術,開発の過程で検討した技術的な課題などを,開発者が解説する。(堀切 近史=本誌)

Markus Hammes
Andre Hanke
ドイツInfineon Technologies AG,Principal Concept Engineering,Communication Division