日経ものづくり 詳報

画像解析で熟練者の技能を定量化
東芝が溶接技能評価システムを開発

実習生の動きも分析して比較,訓練の効率を向上

 熟練者が退職して現場の技能のノウハウが消えてしまう—熟練技能者の減少に危機感を抱いている企業は多い。加えて,人手不足やリードタイム短縮などで,じっくり若手を訓練する余裕もなくなってきている。
 こうした状況に対応して,技能をデジタル化して定量評価・保存するシステムが登場した。東芝が開発した溶接工の技能評価用システム「Skill Digitizer」がそれだ。自社工場での技能継承のために開発したもの。文章や数字として表しにくく,継承が難しいといわれる技能者のノウハウを記録できる上,若手技能者の育成にも活用できる。
 Skill Digitizerは,四つのカメラで作業の様子を撮影する。それを画像解析にかけて,技能者の動きや溶接棒(ワイヤ)の挙動,溶接速度などをリアルタイムで定量化する。高度な技能をデータとして残せるだけでなく,経験の浅い技能者と熟練者とのデータを比較することで,訓練の効率を高められる。価格は平板の溶接用システムが800万円で,配管の溶接用が900万円。いずれも,ソフトウエアのほかに,カメラやパソコンなどを含む。

日経ものづくり 詳報
●定量化した技能をレーダーチャートとして表示