「もう十分に協議は尽くしたはず」
 「会社の説明は一方的だ」
 職務中の発明に対して会社が従業員に支払う報酬,いわゆる「相当の対価」に関する条文などを改めた新特許法が2005年4月に施行される。これに合わせ,新しい対価支払い制度の策定が各社とも急ピッチで進んでいる。

 改正の趣旨をひと言でいうと「会社と従業員が協議し,合理的な手続きで対価の支払い制度を決めたなら,裁判所はその制度を尊重します」というもの。だが現時点で技術者の意識は,この手続きに納得しているとはいい難いようだ。本誌は,対価の支払い制度の策定を巡る協議の実態についてアンケート調査を実施し,2000人近い数の回答を得た。そこから浮かび上がったのは,支払い制度の策定過程に不満を募らせる技術者の声である。