詳報
神戸製鋼所が業界初の「鋼材情報共有化システム」を構築

迅速な顧客対応の実現,戦略的な生産計画の立案へ

 神戸製鋼所はこのほど,鋼材に関する情報を全社的に共有できる「鋼材情報共有化システム」を構築した(図1)。同システムの中核となるのは「統合データベースシステム」と「Web型プロセスコンピュータ」。これらは,鉄鋼部門における生産部門と営業部門,あるいは生産部門における製造現場と生産管理部門との間で遅れていた情報共有を促進し,?@需要家からの問い合わせに速やかに対応し情報を提供する?A採算性を重視した生産計画や営業戦略を立案する—ことを可能にする。こうした取り組みは「鉄鋼業界で初めて」(同社)という。

複雑に絡み合うシステム
 神鋼の鉄鋼部門における従来の基幹システムは,加古川製鉄所を立ち上げた1960年代終わりに構築されたもの〔図2(a)〕。基本的には生産部門系と営業系に分かれ,それぞれが必要に応じてシステムを追加してきた。その中で,生産部門系と営業系では横の連携を取らずに,受注システムや生産計画システム,SCMシステムといったさまざまなシステムが複雑に絡み合っていった。  こうしたシステムを作るたびに,データベースを併せて作製する。それは,製鉄所(神戸/加古川)単位だったり,品種(線材・棒鋼/薄板/厚板)単位だったり。その過程で,受注ナンバーのような汎用的なデータについては複数のデータベース内に収納されていった。