アイデアコーナー
アイシン精機試作工場のアイデア

モータ用磁石の取り付け治具
ハンドルの往復運動で位置出しと張り付け


【事業所概要】 自動車部品を中心に,住生活・エネルギ・福祉機器などの事業領域を持つアイシン精機の試作品および少量品を生産。試作を通じて生産課題を抽出・解決することも役割としている。

ハンドルの往復運動で位置出しと張り付け
 モータケースの内面に4枚の磁石を取り付ける工程は従来,手作業だった(図1)。まず,治具で位置決めした磁石をモータケースに仮止めし,その位置をケガく。ケガいた範囲に接着剤を塗布して,磁石を一つずつ張り付けていくというプロセスだ。このため,手間がかかるばかりか,張り付け位置を目視で確認する必要があった。
 そこで,磁石を確実に位置決めし,張り付ける治具を考案した(図2)。ハンドルが1往復するたびに1枚の磁石を張り付け,さらにモータケースを90°回転させる。つまり,ハンドルを4往復させることで一つのモータケースに磁石を取り付ける作業が完了するわけだ。
 ハンドルと磁石を張り付けるアームの動きを示したのが図3。アームの先端には磁石を取り付ける台座があり,磁石の形状に合わせたガイドによって位置決めする。ガイド部分に磁石を固定する機構はないが,磁力によって引き付け合うため落ちることはない。この台座に,張り付け面が手前に来るように磁石を置く。この状態で張り付け面に接着剤を塗布すれば準備完了だ。
 アームとハンドルの間には,治具のベースに固定した金属板が立っている。金属板には案内カム溝(貫通穴)が開いており,ハンドルにも直線の貫通穴がある。アームには,これら二つの貫通穴にはまり込むカムローラを取り付けておく。