短期連載・競争力を強化するコストマネジメント再考
最終回 仕組みを使って売価/原価戦略を実行する

コスト情報を多様なくくりで見る、その仕組みが打ち手を明確に導く


前回は売価・コスト戦略を策定するための考え方とそのプロセスについて紹介した。実際に理想的なプロセスを実践しようとすると,非常に手間がかかる。工数の増加という大きな壁を乗り越えなければ,当然ながら効果は期待できない。今回は売価・コスト戦略を実践していくために必要不可欠となる仕組みを紹介していく。



 売価を戦略的に決定していく,また開発の上流段階でコストを作り込む。その重要性は皆認識しているが,実践する時間も人もない。仕事がこれ以上増えるのは勘弁してほしいというのが正直な感想だろう。
 売価・コスト戦略を実践するためには,プロセスを効率的に運用していく仕組みが必要だ。仕事は多少増えるが,重要なことだからやってみよう—担当者がそう思えるかどうかで,新しい考え方を導入するに当たっての成否が分かれる。
 また仕組みは分かりやすいことも重要だ。入力などの手間が多少増えても,作業の目的と手順が分かりやすい仕組みならばスムーズに定着する。
 売価・コスト戦略の立案過程で,活用できる仕組みは多岐にわたる。今回はその中でも必要不可欠になる,原価企画と原価管理を支援する仕組みについて紹介する。

製品構成からコスト算出
 目標利益を確保するためには「開発段階からコストを作り込む」ことは欠かせない。要は「コストを意識した設計」を実施する必要がある。そのためには,機能・品質を満たすように製品構成を組み替えながら,そのコストを把握できなくてはならない。部品点数と,その組み合わせパターンが少なければ難しくないが,部品点数,もしくは組み合わせパターンが多くなれば,相当な工数になる。設計者が構成を編集するたびに,部品ごとの単価を都度算出することは現実的ではない。

原田浩平
ネクステックプロジェクト推進部 ディレクター
牧田恵理子
ネクステックプロジェクト推進部 コンサルタント