現代ものづくり考
空気清浄機

高機能化で市場ににぎわい、細菌やウイルスも抑制


高村 敦(電通・消費者研究センター 主管)


 空気清浄機が売れている。
 2000年には約100万台だった出荷台数が,2004年には2倍の200万台に達する見込みだ。普及率も約27%と,4軒に1軒を超える世帯が所有しているという状況だ。特に2003年の冷夏と2004年の猛暑が影響し,2005年の春は2004年の10~30倍のスギ・ヒノキ花粉が飛散するとみられており,小売りレベルでは各種の花粉症対策グッズが早くから本格販売の体制に入っているが,空気清浄機はその中の目玉の一つだ。家電メーカー各社は「絶好の販売チャンス到来」と鼻息が荒い。
 空気清浄機が広く市場に導入されたのは20年ほど前からだが,当初はタバコの煙やほこりといった空気の汚れを除去するのが目的であった。以降,菌やウイルス,ダニやアレルゲンの除去あるいは不活化,最近では脱臭など,高機能化した商品が市場をにぎわせている。花粉症などアレルギーの増加が高機能へのニーズを高めたのは言うまでもないだろうが,それにしてもここ数年の日本人の過剰なまでの清潔意識の高まりが象徴されているのではないだろうか。