電力を変換して各部品へ供給する役割を果たすパワー・エレクトロニクス技術。これまでは縁の下の力持ち的な存在だったが,ここにきて存在感が増している。機器の省エネルギーや制御性を高めるカギを握るからだ。その「見えざる力」をさらに発揮する日が近づいている。

第1部
始まった量と質の変化
底力を随所で発揮

電力を変換して各部品へ供給する役割を果たすパワー・エレクトロニクス技術。その中核に位置するパワー半導体が増産に沸いている。最終的に電力を消費する部品が機器の機能を決める主役なのに対してパワー・エレクトロニクス技術は縁の下の力持ち的な存在のはずだった。しかしここへきて,機器の省エネルギーや制御性を高める有効な手段としてその存在感が急速に増している。

第2部
素子/実装/制御技術を結集
出力パワー密度の向上図る

コンバータやインバータなどの電力変換器は過去30年,緩やかながらもたゆまぬ進化を遂げてきた。その出力パワー密度は,大まかな傾向として10年間で約5.5倍に向上してきた計算だ。性能の向上を主に支えてきたのは,損失低減といった半導体素子の特性改善である。ただしSi材料を用いるパワー半導体は昨今,その特性向上が伸び悩んでいる。
従来と同様の特性向上は期待できないとする見方で一致する。SiCなど新たな材料の実用化を検討する動きもあるが,まだ時間はかかりそうだ。出力パワー密度向上のペースを維持するには,実装や制御に関する技術を結集させる必要がある。