直言
社長自らが単身で中国に駐在する金型中小企業


 金型メーカーにとって中国進出は簡単なことではない。設備が高額であることに加え,職人的な技術も必要とされ,人材養成に相当の時間がかかる。

 だが21世紀に入るころから,少しずつ動きが見え始めている。顧客企業の大半が中国に進出したためだ。さらに,日本のものづくりの現状に不安を感じて,新たな可能性を中国で追求しようという金型メーカーもある。

 岩手県北上市にある阿部製作所は,そのような考えから中国へ進出した企業の一つ。社長の阿部頼人氏(1935年生まれ)は花巻市の出身で,地元の名門である新興製作所に勤務し,26歳のときに独立。その後,同地に進出した東芝の半導体工場との関係を深め,技術レベルを上げていった。北東北では著名な精密金型メーカーである。

一橋大学大学院教授
関 満博
1948年生まれ。成城大学大学院博士課程修了。専修大学助教授などを経て,1998年から一橋大学教授。主な著書として『現場主義の知的生産法』など。