伝送路に雑音が多くて受信しても情報を読み取れないほどのデータでも,送信前同様に「きれい」になる。そんな効果を持つ究極の誤り訂正符号「LDPC」が,にわかに注目を集めている。既に幾つかの標準規格に採用が決まり,実用例も出てきた。次世代誤り訂正符号の座はほぼ確実といえる。

 「LDPC符号は次世代の順方向誤り訂正符号の最有力候補。今後,ジャンルを問わずさまざまな用途に使われると考えている」(NEC インターネットシステム研究所 セキュリティテクノロジーグループ 主任研究員の岡村利彦氏)--。

 LDPC符号と呼ばれる誤り訂正符号がにわかに注目を集めている。通信,放送からハード・ディスク装置(HDD)まで,多種多様な分野で標準的な方法になる可能性がある。いずれの分野でも今後2年~3年以内に実用化が進みそうだ。

 LDPC符号の処理を含むベースバンドLSIの実現で先陣を切ったのは,高速移動対応の無線IP(internet protocol)通信用機器を開発する米Flarion Technologies,Inc.。現在,日本を含む各国でフィールド実験を行っている。「2005年中には米国やオーストラリアなどで我々の方式を使う無線サービスが始まる見込み」(同社日本代表の川端啓之氏)という。既にサービスを始めた企業もある。NTTコミュニケーションズは2004年12月に映像配信サービス「OCN Theater」でいち早く利用に踏み切った。