メーカーも権利者もユーザーも誰もが現行制度に疑問を感じながら手を付けられなかった私的録音の補償金制度に,ついにメスが入る。文化庁長官の諮問機関である文化審議会の著作権分科会 法制問題小委員会は2005年1月17日,著作権法の抜本的な改正に向けた「著作権法に関する今後の検討課題」と題する報告書を作成,この中で補償金制度を見直し候補に挙げた

 著作権法の改正に向けてはこれまで,まず利害関係者である権利者やメーカーなどの団体同士で事前に話し合い,基本合意に達する必要があった。このプロセスを経ることを前提に,初めて審議会の議題に上る。利害関係者の意見が対立している場合は,審議会による検討すらなされない。補償金制度もメーカーと権利者の間で鋭く対立し続けたため,問題が放置されてきたのである。そこで,審議会は従来方針を改め利害関係者の合意がなくても,法改正に向けた審議の対象とすることを決めた。著作権法がデジタル録画をめぐる技術の変化に遅れているという文化庁の強い危機意識の表れだろう。