欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 やや旧聞に属するが、2013年9月に開催されたフランクフルトモーターショーの会場は、例によって広大だった。ドイツの大手3社(Volkswagen社、Daimler社、BMW社)がそれぞれ、一つのホール全体を使う一方で、ドイツAudi社は数千万ユーロ(1ユーロ=134円換算で数十億円)の費用をかけて、仮設の展示会場を建設した。

 ことしのショーを特徴づけたのは、自動運転と電動化という二つのテーマである。Daimler社が新型「Mercedes-Benz Sクラス」にオプション設定した「Intelligent drive」は、自動ブレーキなどをパッケージ化したもので、自動運転に向かう第一歩といえるものだった。同社役員会メンバーのThomas Weber氏によれば同車を購入したユーザーの60~70%が装着しているという。

 米Delphi社は「MyFi Connecting with Safety」と呼ぶコンセプト車を出展した。これは、アクティブセーフティシステムと車載情報システムを融合したもので、ドライバーの負荷管理システムと、ドライバーの状態を監視するセンサを備えている。このシステムには、車両に搭載されているすべてのセンサが接続されており、それらのセンサの中には、76GHzのミリ波レーダと38度の視角を備えたカメラを組み合わせた「RaCam」も含まれる。ドライバーの状態を監視するセンサは、両眼および頭部の動きから、運転状態に注意を払っているかどうかを検知し、必要な場合にはドライバーに警告する。

以下、『日経Automotive Technology』2014年1月号に掲載