日本では登録車の3割近くを占めるようになったハイブリッド車だが、その他の市場ではまだ、CO2排出量削減の手段はエンジンの効率向上が主流だ。英国のエンジニアリング会社であるRicardo社Chief Technology & Innovation OfficerのNeville Jackson氏は、内燃機関の効率を60%まで高めることは可能だと主張する。(聞き手は鶴原吉郎)

President Hyundai Kia Design Center PeterSchreyer氏
英 Ricardo社Chief Technology & Innovation Officer
Neville Jackson氏

 自動車からのCO2排出量低減は、世界の自動車メーカーにとって喫緊の課題になっている。そのために、これまでもさまざまな方策が提案されてきた。1980年には合成燃料が、1985年には断熱エンジンが、1990年にはメタノールが、1995年には電気自動車(EV)が、2000年には燃料電池車(FCV)が、2005年にはHCCI(予混合圧縮着火)エンジンが、2007年にはバイオ燃料が、そして2009年以降は再びEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)が脚光を浴びた。まるでファッションのように、流行の技術は変わってきた。しかし、一つだけですべての問題を解決できるような技術は恐らく存在しない。

 例えば、水素燃料は有力な解決方法の一つと見なされているが、広く実用化するためには、インフラの整備、水素の効率的な製造法、水素の車両への搭載方法など多くの課題を解決する必要がある。日本で広く普及しているハイブリッド車は、スタート・ストップの多い環境では燃費を向上させる有力な手段だが、高速域での燃費向上には、車体の空力特性の改善や、エンジン効率の向上がより重要だ。

以下、『日経Automotive Technology』2014年1月号に掲載