ホンダエンジニアリングはクランク軸を約3.5kg軽くする技術を開発した。熱間鍛造中に、ウェブの一部にパンチを押し込んでくぼませる。軽くなるにもかかわらず、コストは据え置き。ウエイトの形状を工夫して素材である丸棒を細くできるためだ。

 ホンダエンジニアリングは、クランク軸の一部を熱間鍛造中にくぼませる技術を開発した。ホンダは、この技術を新たに設計したエンジン「LFA」に採用した(図1、2)。同エンジンは7月に発売したハイブリッド車(HEV)「アコードハイブリッド」、プラグインハイブリッド車(PHEV)「アコード プラグイン ハイブリッド」用のエンジンである(図3)。

 「LFA」は排気量2.0Lの4気筒エンジン。開発した加工技術を使うことなどによって、同じ2.0Lの「シビック」用「R20A」エンジンに対してクランク軸を約3.5kg軽くした。電池をはじめ、重くなりがちなHEV、PHEVを少しでも軽くし、HEVのJC08モード燃費を30.0km/Lの大台に乗せることに貢献した。クランク軸は、エンジンの中でブロックに次いで2番目に重い部品である。

 この技術の特長は、3.5kg軽くしてもコストが上がらないないことだ。3.5kgは大きいとはいえないが、費用対効果は大きい。コスト負担がないこともあり、決してHEVのような限られた車種向けの技術ではない。「LFA」を皮切りに、多くの車種に展開するつもりである。

以下、『日経Automotive Technology』2013年11月号に掲載
図1 エンジンのクランク軸
図1 エンジンのクランク軸
丸で囲ったところがくぼんでいる。
図2 「LFA」エンジン
図2 「LFA」エンジン
HEV、PHEV専用だ。
図3 「アコード ハイブリッド EX」
図3 「アコード ハイブリッド EX」
JC08モードで30.0km/Lを達成した。