コンゴ民主共和国(DRC:Democratic Republic of the Congo)では内戦が続いている。女性を虐待する、子供の兵士を使うなど、人権問題を起こし、世界から批判されている。その問題が自動車技術に及ぼす影響について、トーマツ企業リスク研究所所長の久保恵一氏に聞いた。(聞き手は浜田基彦)

トーマツ企業リスク研究所所長久保恵一氏
トーマツ企業リスク研究所
所長 久保恵一氏
写真:中村宏

 DRCは鉱物資源が豊富であり、武装勢力がそれを輸出して資金源にしている。武装勢力は武器を買い、傭兵を雇うので、事態はさらに悪くなる。

 2013年1月、そうした問題への対応として、米国でドット・フランク法1502条の適用が始まった。製品に使うSn(スズ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Au( 金)の4種類の鉱物をDRCとその周辺9カ国から輸入した鉱物を使っている場合には「紛争鉱物報告書」を提出することを義務付ける。罰則はないが、結果を公表するから、人道的に問題のある企業だと世間から見られる。直接対象になるのは、米国で上場している企業なのだが、米国で上場していない日本企業も対応を進めている。取引先に上場企業があれば、対応が必要なためだ。

以下、『日経Automotive Technology』2013年11月号に掲載