ホンダがハイブリッド車で攻勢に転じた。6月に発売した「アコードハイブリッド」は30km/L、9月に発売した「フィットハイブリッド」は36.4km/Lと、JC08モードの燃費でトヨタ自動車の競合車種を一気に抜き去った。さらに、大型車、スポーツカー向けの新たなハイブリッドシステムも間もなく登場する。ホンダのハイブリッド戦略を追った。

 ホンダはハイブリッドシステムとして、1999年の初代「インサイト」から2010年の「フィットハイブリッド」まで、1モータ方式の「IMA(Integrated Motor Assist)」を使い続けてきた。しかし、今年に入って発売した「アコードハイブリッド」と「フィットハイブリッド」から、新世代のハイブリッド技術を投入。それぞれのJC08モード燃費で、トヨタの競合車「カムリ」や「アクア」を抜き去った。

 実際にアコードの燃費は、ずば抜けている。車両質量は1610kgと重いが、競合車のカムリや「クラウンハイブリッド」の燃費が23km/L台であるのに対し、30.0km/Lと6km/L以上上回った。また、フィットもアクアの35.4km/Lという8月までの国内最高燃費を1km/L上回る36.4km/Lをたたき出した。

 車両質量を横軸にとり、燃費を縦軸にとると、アコードとフィットの燃費を結んだ線は「プリウス」やアクアの水準を上回っている(図1)。ホンダの新世代ハイブリッド車(HEV)は現時点で、トヨタ以上の燃費を実現しているといえる。

IMAの弱点を克服

 IMAは、機構がシンプルでモータ出力も小さいため、安価に作れる利点がある半面、いくつか弱点があった。その一つが、モータがエンジンの駆動軸に直結しているため、電気自動車(EV)走行時にエンジンがつられて回り、抵抗が大きいことである。また、協調回生ブレーキを採用していないため、減速時に回生できるエネルギ量が少なかった。

以下、『日経Automotive Technology』2013年11月号に掲載
図1 ホンダがトヨタ自動車を上回る燃費を達成
車両質量当たりの燃費を比較。横軸は車両質量で、右にいくほど質量が軽くなる。縦軸はJC08モード燃費。
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