パナソニックは東京製鉄と共同で、電炉鋼板を利用する新たな枠組み「鋼板の資源循環取引スキーム」を構築した。使用済みの冷蔵庫や洗濯機などの鋼板を、パナソニック傘下の家電リサイクル工場で分解/選別して鉄スクラップとして東京製鉄に供給し、東京製鉄が電炉鋼板にしてパナソニックに供給するというもの。こうした枠組みは電機業界では初めてという。

低コストで安定調達

 パナソニックには低コストの鋼板を安定的に調達できる、東京製鉄には顧客を確保できるなど、双方にメリットがある。加えて電炉鋼板には、高炉で造る鋼板に比べ、二酸化炭素排出量が約1/4という魅力もある。

 最近になって電炉鋼板の製造技術が進化し、耐食性やプレス加工性に優れた鋼板を造れるようになってきた。環境負荷の少ないクロメートフリータイプの溶融亜鉛めっき鋼板の薄板も実用化されている。薄板はこれまで高炉鋼板の独壇場だったが、電炉鋼板の性能向上や環境負荷の低さ、コスト競争力に注目して、製品の主要材料として採用する動きが出てきている1)


〔以下、日経ものづくり2013年9月号に掲載〕

参考文献:1)高田, 「素材革命 リコーの複合機に『電炉鋼板』」, 『日経ものづくり』,2012年5月号,pp.39-45.