これは鋼製の減速機用歯車。歯車の中心部には、シャフトへの歯車の保持力を高めるために背の高いボスが立っている。実は、この歯車は従来と異なる新たな方法で造られた。

 歯車の直径は60mmで、ボスの高さは歯車から突き出た部分だけで9mm、全体では12mmとなっている。歯車本体の厚さは3mmだから、ボスの高さは4倍だ。通常なら、形状が複雑で肉厚があり、かつ高い強度が必要なこうした部品は冷間鍛造で造るが、この歯車は違う。さて、どのように造ったのだろうか。

 条件がある。1カ月当たり20万個程度の量産を想定していることだ。


〔以下、日経ものづくり2013年9月号に掲載〕