アイデアは発散と収束で磨く
第3回(2013年7月号)から、TRIZの日本式活用法の内容を具体事例と共に紹介している。
日本式活用法の工程は、大きく3つある。自身が抱える開発課題の本質的な原因(根本原因)を突き止める「前工程」、TRIZの3つの手法(「矛盾の克服」「技術進化の法則」「科学的・工学的効果」)を用いて根本原因の解決に向けたアイデアをできる限りたくさん出す「TRIZ」工程、TRIZで導き出した大量のアイデアを整理/分類し、取捨選択したり複数のアイデアを組み合わせたりして最終的に1つの問題解決策に収束させる「後工程」、の3つである。
第3回では、前工程と、TRIZの3手法のうちの「矛盾の克服」を取り上げた。今回はその続きとして、残り2手法と後工程を見ていく。
技術進化のパターンは19種類
TRIZの3つの手法を今一度、確認しておこう。TRIZには、[1]問題の中にある矛盾からひもとく「矛盾の克服」、[2]技術が進化する過程に着目する「技術進化の法則」、[3]解決したい問題の機能から知識データベースを逆引きする「科学的・工学的効果」、の3つの手法がある。
第3回で解説した[1]の「矛盾の克服」は、前工程で導いた根本原因の要素の中から矛盾する2つの要素(工学的矛盾)を見つけ、それらの要素と同じ組み合わせを「工学的矛盾マトリクス」の中から探し出すというものだった。このマトリクスを見れば、TRIZの「40の発明原理(矛盾解決策)」のうち、どれが自分の問題のヒントになるのかが分かる。
[2]の「技術進化の法則」でも、前工程で特定した根本原因をスタート地点とする点では同じだ。しかし、技術進化の法則では、根本原因の要素間にある矛盾ではなく、1つの要素が別の要素に与える「有害作用」や「不足作用」に着目する。
基本的には、要素間に矛盾が存在する根本原因の場合は「矛盾の克服」を実施し、矛盾が存在しないか不明である根本原因の場合は「技術進化の法則」を適用するのが得策になる。
技術進化の法則は、大きく2つの考え方によって構成されている。「19の技術進化のパターン」と「76の発明標準解」である。まず、19の技術進化のパターンから説明する。
〔以下、日経ものづくり2013年8月号に掲載〕
アイデア 代表取締役社長
アイデア TRIZプログラム担当ディレクター