「我々が2012年末に出荷を開始した最先端の製品は、産業機器のトップ10社のうち、6社が採用している」(米Altera社 Industrial& Automotive Business UnitのBrian Jentz氏)。産業機器メーカーが、設計者が手元で回路構成を自由に変更できる半導体であるFPGA(Field Programmable Gate Array)の採用を加速し始めた。大手FPGAメーカーのAltera社が、日経ものづくりに対して、実際の産業機器メーカーによるFPGAの導入事例を明らかにした。冒頭の最先端の製品は、業界標準の英ARM社のプロセサ・コアと、FPGAを1チップに集積した「SoC FPGA」である。

マザーボードを世界共通化

 最先端FPGAの採用に動く産業機器メーカーの狙いは、大きく2つある。1つは、これまでは仕向地ごとに別個に用意する必要があったマザーボードを1個に集約でき、グローバル展開が容易になること。従来の産業機器に搭載されていたASIC(特定用途向けIC)に代表される半導体は、いったんチップを製造した後は機能を変更できない。このため、仕向地ごとに異なるマザーボードを用意する必要があり、グローバル展開の妨げになっていた。FPGAはチップ製造後も、柔軟に機能を変更できるので、マザーボードを仕向地によらず共通化できる。トータル・コストの削減などにつながる。

 実際、国内のあるプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)・メーカーは、こうした方向性で、PLCのハードウエア構成の抜本的な変更に取り組んでいる(図1)。同社の現行世代のPLCは、マイコン(ARMプロセサ)、2種類のASIC、FPGAという4種類の半導体を搭載している。


〔以下、日経ものづくり2013年8月号に掲載〕

図1●ある国内プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)・メーカーの事例
PLCの心臓部の変遷を示した。ASICやプロセサなどをSoC FPGAで置き換える。図中のCyclone V SoCは、SoC FPGAの低コスト版である。 Altera社の資料を基に本誌が作成。
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