ドイツAudi社のデザインディレクターや同Volkswagen社のチーフデザイナーを歴任し、2006年に韓国KiaMotors社に移籍、“タイガーノーズ”として知られる新しいグリルを導入したPeter Schreyer氏。2013年1月にはHyundai Kia Design CenterのPresidentに就任、Hyundai Motor社も含めてデザイン部門を統轄することになった。同氏のデザイン哲学を聞いた。(聞き手は林達彦)

President Hyundai Kia Design Center PeterSchreyer氏
President Hyundai Kia Design Center
Peter Schreyer氏
写真:井上雅行(モーターマガジン社)

 Audi社時代は「TT」や「A2」などを手がけ、その後2006年にKia社に移った。その理由は二つある。一つ目は、冒険心をくすぐられたからである。私にとって移籍のオファーは、挑戦心をかき立てられるもので、大きなステップだった。

 もう一つは、クルマを自由にデザインする可能性が見えていたことだ。Kia車のデザインに関する将来の方向性やどのようにブランドを高めていくかについての自由度が非常に高かった。私はこうした方向性に関して、何をしてもよいという権限を得られた。

 そこで、タイガーノーズと呼ぶ虎の顔をモチーフにしたKia車独自デザインの新しいグリルを提案した。さらにクルマ全体のボリュームをどのように定義するかを真剣に議論し、特にパッケージングについては入念に検討してデザインした。

以下、『日経Automotive Technology』2013年9月号に掲載