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HOME日経ものづくり 2013年7月号 > ホンダ イノベーション魂!2

日経ものづくり 2013年7月号

ホンダ イノベーション魂!2

【第1回】「何をつくるか」が大問題だ

  • 2013/06/21 18:54
  • 1/1ページ
ホンダ イノベーション魂!2では、「人と組織のイノベーション力をいかにして高めていくか」をテーマに、イノベーションの本質を考えていきます。日本初のエアバッグを16年かけて開発した筆者の経験に基づき、イノベーションに成功するためのアプローチや考え方を紹介します。

 皆さん、お久しぶり。前回の連載「ホンダ イノベーション魂!」から約1年半、再び皆さんと一緒にイノベーションの本質について考える機会を持つことができて、素直にうれしく、そしてとても楽しみでもある。

 前回の連載では、イノベーションの成功を手繰り寄せるために技術者は何をすればよいかを、日本初のエアバッグの開発と量産を巡る筆者の原体験を通じて紹介した。今回の連載は、「人と組織のイノベーション力をいかにして高めていくか」をテーマとしたい。人と組織の2本立てではあるが、真の主役は人である。言ってみれば皆さん1人ひとりだ。イノベーションを生み出す原動力は皆さんたちの中にしかない。組織の主な役割は、人を支援することにある。

 今回の連載も「具体的で実践的」がモットーだが、いかにしてイノベーション力を高めていくか、という本論に入る前に、今回と次回で私たちが今どんな状況にいるかを明らかにしておきたい。

テーマが見つからない

 ものづくりを取り巻く状況は、正直言って非常に厳しい。アジアを中心とした新興国は、低コストだけではなく、すごい勢いで技術力を高めている。日本企業は、新しい価値を実現するオンリーワンの製品を強化しなければならない。これは以前から言われていたことだが、いよいよ事態がひっ迫してきた。そこで最近になってイノベーションに対する関心が一気に高まったのである。中には、イノベーションに挑戦するために専門の部署を新たに立ち上げた企業もあるほどだ。

 筆者は以前から、「新しい価値を生み出さないと、企業も国も衰退していくだけだ」と主張してきた。だから、イノベーションの復興(ルネッサンス)ともいえる最近の流れは大歓迎である。ところが、それがなかなかうまくいっていない。「成果が上がっていない」という意味ではない。イノベーションは基本的には中長期のプロジェクトなので、すぐに成果が出ないのは当然のことだ。成果を云々言う前に、まず、テーマが見つけられない。これではイノベーションに挑戦しようがないではないか。

〔以下、日経ものづくり2013年7月号に掲載〕

小林三郎(こばやし・さぶろう)
中央大学大学院戦略経営研究科 客員教授
1945年東京都生まれ。1968年早稲田大学理工学部卒。1970年米University of California,Berkeley校工学部修士課程修了。1971年本田技術研究所に入社。16年間に及ぶ研究の成果として、1987年に日本初のエアバッグの開発・量産・市販に成功。2000年にはホンダの経営企画部長に就任。2005年12月に退職後、一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授を経て、2010年4月から現職。