いまやメカ設計者もエレクトロニクスと無縁ではありません。「メカ設計者も知っておきたい エレ設計のABC ~オーツ君の成長記~」では、架空の設計現場を舞台に、製品開発をスムーズに進めるためのエレクトロニクス設計の基礎を解説します。

交流になると何が変わる?

 タブレット端末にもパソコン(PC)にもなる薄型ノートPCの開発を任されたオーツ氏。第1回では先輩のテツタロウ氏にエレクトロニクス設計(エレ設計)の基本的な考え方を教わった。しかし、エレ設計のことをもっとよく知るには、高周波(RF)に関する知識も必要となる。昨今のように無線機能を標準搭載するノートPCの場合はなおのことだ。そこで、テツタロウ氏の紹介で、RF設計に詳しいキイチ氏に、RFについて教えを請うことにした。

電波とは電界と磁界の波

 オーツ(以下、O)氏:「キイチさん、こんにちは。今日は、目に見えないRFの世界について、教えてもらいにきました」

 キイチ(以下、K)氏:「やぁ、オーツ君、よく来たね。テツタロウから話は聞いているよ。では、早速始めようか。まずは簡単な直流回路の問題だ。今、この回路のスイッチを入れた場合、どの順番で電球がつくか分かるかな」(図1)

 O氏:「電流は、電池のプラスから流れて電池のマイナスに向かうのでA、B、C、D、Eですか?いや、電子の流れは逆だからE、D、C、B、Aの順かな?」

 K氏:「どっちも違うな。実は、答えはA、E、B、D、Cだよ」

 O氏:「えっ」
〔以下、日経ものづくり2013年6月号に掲載〕

図1●電球が点灯する順番
図1●電球が点灯する順番
5つの電球が接続された直流の閉回路。電球はどういう順番で点灯するだろうか。

前田篤志(まえだ・あつし)
O2 Lab. リサーチフェロー
米国で高周波(RF)技術を教える傍ら、マネジメント要素を盛り込んだ独自の「RF Management」論を構築。現在は特許工学などの講義を基に、現象論に立脚したエレクトロニクス教育の啓蒙に努める。

【会社紹介】
O2 Lab.は、設計開発領域におけるコンサルティングを手掛けるO2の研究開発部門。ビジネスシーズを新規事業にまで育て上げる顧客専属の研究開発機関である。URLはhttp://www.o2-inc.com/lab/