スズキの新型軽自動車「スペーシア」は、ダイハツ工業の「タント」に対抗する軽ハイトワゴンとして開発された。その開発責任者を務めたのが、四輪技術本部第一カーライン長の熊谷義彦CE(Chief Engineer)である。開発に当たって、徹底的に広さを追求したという熊谷は、スペーシアの開発を担当するまで、エンジンや車体、シャシーといった車両の主要な要素技術を設計した経験がない、異色のCEでもある。
岩手県盛岡市生まれの熊谷が、静岡県浜松市に本社を置くスズキになぜ入社することになったのか。その経緯から聞いていくことにしよう。