2013年2~5月号では、2012年10月に日本プラントメンテナンス協会が主催した「からくり改善くふう展2012」の展示品から、生産現場で発生するさまざまな問題を解決するために、現場の人たちが知恵を絞って考案・作製したからくりや治具の事例を紹介します。

事例1:誰の手も借りずにAGVが台車を連結・切り離し

 カルソニックカンセイ児玉工場(埼玉県本庄市)技術チームは、台車をベースとした自動搬送車(AGV)「楽々ラック」(以下、台車タイプのAGV)を製作した。ここには、作業員の手を借りずに自動的に他の台車を運ぶためのからくり「連結台車もアンロック」が搭載されている(図1)。

 このからくりは、台車タイプのAGVが搬送ルートの途中で、完成品を載せた台車(以下、完成品台車)を自動で連結し、牽引した後、所定の場所で切り離す機構である。例えば、完成品を生産ラインから倉庫まで運ぶ時に使う。

 連結の仕組みから見ていこう。台車タイプのAGVは搬送ルートの途中で、完成品台車の牽引フックを自身の本体に引っ掛ける。これを人の手を借りずに実現するために、本体の側面にガイド「連結台車フック引き込みガイド」を備える(図2)。
〔以下、日経ものづくり2013年5月号に掲載〕

図1●台車タイプのAGVに搭載した機構「連結台車もアンロック」
図1●台車タイプのAGVに搭載した機構「連結台車もアンロック」
完成品台車を連結・牽引・切り離しできるからくり機構を考案し、内製した台車タイプのAGV「楽々ラック」に搭載した。台車タイプのAGVも含め、掛かった費用は約40万円。
図2●台車タイプのAGVと完成品台車を連結する仕組み
図2●台車タイプのAGVと完成品台車を連結する仕組み
完成品台車の牽引フックは、先端がカギ状になっている。その先端が台車タイプのAGVの側面に備えたガイド「連結台車フック引き込みガイド」の内側に入り込み、ガイドに沿って後方へ移動して所定の位置に収まる。