日経テクノロジーオンライン
雑誌 2013年5月号 ものづくり塾・R&Dコース

250万件の特許分析で問題を解決する
TRIZの日本式活用法

【第1回】発想法は役に立つのか

前古 護●アイデア 代表取締役社長
2013/04/24 17:40
 
2013年5月号からは、「250万件の特許で問題を解決する TRIZの日本式活用法」をお届けします。旧ソビエト連邦で生まれた問題解決理論のTRIZは、1990年代に日本でブームになった後に衰退しましたが、その間、日本独自の活用法が生まれて使いやすくなりました。その中身を解説します。

普通の人でもアイデアマンになれる

 「TRIZを使ったら、10年も検討して解決できなかった技術課題をたった2カ月で解決できた。10年前にTRIZを導入しておくべきだった」

 これは数年前、とある製品開発プロジェクトの成果発表の場で、ある大手電機メーカーの技術担当役員が実際に口にした言葉である。長期間にわたって検討しても解決できなかった課題を「超」短期間で解決できる─―。これこそがTRIZの最大の魅力である。

 TRIZとは、「発明的問題解決理論」という意味のロシア語の頭文字を並べたもので、「トゥリーズ」と発音する(図1)。1946年、当時のソビエト連邦海軍特許審議官であったGenrich S. Altshuller氏(1926~1998年)が研究を開始し、最終的には約250万件にも及ぶ特許の統計的分析に基づいて体系化された、技術的な問題を解決するための方法論だ。特許はいわば、「技術の先人たち」が試行錯誤を重ねて導き出してきた問題解決手段の宝庫。Altshuller氏をはじめとする約4000人ともいわれる旧ソ連の研究員たちは、世界中の特許を徹底的に調べ上げ、その中に共通性や規則性を見出した。あたかも個別の技術問題を解決しているかのように見えた特許群が実は、「寸法を長くしたいが体積は小さくしたい」「薄くしたいが強度も欲しい」といった問題の種類ごとに、同じような解決策を講じていたことが分かったのだ。

 TRIZはこの規則性を体系化したもので、先人の知恵を現代の問題解決に生かすことを目的としている。問題の種類さえ定義できれば、約250万件の中から導き出した各種法則から解決の糸口を提示してもらえる。もちろん、それだけで問題の全てを解決できるわけではない。しかし、これらの糸口をベースに独自の工夫を加えていけば、何もベースがない状態から始めるよりも、圧倒的に早く、効率的に結論にたどり着けるとする。
〔以下、日経ものづくり2013年5月号に掲載〕

図1●TRIZはロシア生まれの問題解決法
TRIZは、「発明的問題解決理論」という意味のロシア語の頭文字を取ったもの。当時のソビエト連邦の特許審議官だったGenrich S. Altshuller氏によって1946年に研究が始められた。旧ソ連は国家戦略として約4000人の研究員を投じて研究を促進した。1991年の旧ソ連崩壊後に欧米に広がり、主に米国で発展を遂げた。短時間に狙った方向でアイデアを生み出すことのできる「発想法」でもある。
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前古護(ぜんこ・まもる)
アイデア 代表取締役社長
日本電装(現デンソー)入社後、パーティクル低減や新製品立ち上げなどフォトリソ工程を主とした製造技術分野に従事。1990年に同社を退社。コンサルティング会社を経た後、2003年にTRIZを中核にプロジェクト・コンサルティングによる実務テーマ解決を支援する株式会社アイデアを設立。クライアント企業は国内外を含め380社に上る。2005年から大阪産業大学非常勤講師。2013年1月から日本TRIZ協会の副理事長。

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