【調査テーマ:高年齢技術者の活用】
年金受給開始年齢の段階的な引き上げに伴って、多くの技術者が65歳まで働く時代がやってくる。高年齢技術者の力をうまく借りることで、日本の製造業の競争力を向上できると感じている人は多い。ただし、若手技術者が活躍する機会が減ることを危惧する向きもある。一方、技術者個人にとっても、自分自身が高年齢技術者になった場合にどこで、どう活躍するのかを考える必要が出てきた。自分の経験を生かせれば、定年後に海外メーカーで働くことを考える技術者も多い。(中山 力)

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 全体(左の円グラフ)では「そう思う」(71.8%)が「そうは思わない」(5.0%)を大きく上回るが、そのレベルは回答者の年齢によって異なる(下の棒グラフ)。年齢が高いほど、高年齢技術者を積極的に活用すべきかについて「そう思う」という回答が多くなる。「30歳以上、39歳以下」では45.5%に過ぎないが、「50歳以上、59歳以下」でほぼ全体と同じ71.7%、「70歳以上」では84.0%に至る。逆に、年齢が低いほど「分からない」という回答は増えている。こうした年代による回答の差は、高年齢技術者の価値に対する認識の差の表れかもしれない。

 平均寿命が高くなる中、元気に仕事をこなせる高年齢技術者も少なくない。少子化も進んだ現代の日本では、人的リソースを確保する面でも、その力を活用することは不可欠なはずだ。高年齢技術者の力を客観的に見極め、積極的に活用していくことが求められる。
〔以下、日経ものづくり2013年5月号に掲載〕