ユーザーの行動を観察することでユーザーの隠れたニーズを探るフィールドワーク手法「エスノグラフィ(行動観察)」が今、進化を遂げようとしている。リコーは2013年2月に、この「進化系行動観察」を用いて開発した新製品を発売し、製造業の顧客を中心に販売を伸ばしている。
同社が発表したのは、ビジネス向け電子ホワイトボード「リコー インタラクティブ ホワイトボード D5500」だ(図1)。当初から世界市場、特に米国での販売を視野に入れ、米国で行動観察を実施して新製品の機能に反映させた。
同社が採用した行動観察が「進化系」たるゆえんは、その活用方法にある。通常、行動観察は、製品アイデアもプロトタイプもない状態において、ユーザーの隠れたニーズを探るために実施する。しかし、同社は今回、最初に大まかな製品アイデアを設定してプロトタイプを作製し、それを米国のフィールド(観察現場)に持ち込んで実際に使用してもらう方法を採用した(図2)。その結果、ユーザーの欲しい「必要十分な機能」を効率的に見つけ出し、製品に盛り込めたという。
〔以下、日経ものづくり2013年5月号に掲載〕