出光興産と三井物産は2013年3月18日、米国メキシコ湾岸にαオレフィンの製造プラントの建設を検討することで合意した。年産33万tと大規模なものだ。αオレフィンとは、ポリエチレン(PE)の改質剤などに使う高機能化学品である。

 実は、この合意が大きな注目を集めた。米Dow Chemical社が、同プラントで使う原料にシェールガス*1から製造したエチレンを供給すると発表したからだ。シェール革命の中心部に日本の化学会社が本格的に参画する最初のケースとみられる。

国内生産分を増産

 確かに年産33万tのプラント建設は大事業である。ところが、米国では桁が1つ違う規模のプラント建設ラッシュが始まっている。Dow Chemical社や米Exxon Mobil社など4社が合計で年間約600万t分のエチレン製造プラントの建設を計画。2016~2017年に本格稼働する。600万tは、日本国内における2012年のエチレン生産量に相当する膨大な量だ。出光興産と三井物産のαオレフィンの製造プラントが供給を受けるエチレンは、この中でDow Chemical社が計画する年産150万tの一部である。
〔以下、日経ものづくり2013年5月号に掲載〕

*1シェールガス:堆積岩の一種であるシェール(頁岩、けつがん)の地層に閉じ込められている天然ガスのこと。シェールは硬く、薄片状に剥がれやすい性質があり、近年の技術革新で低コストで採取できるようになった。