2013年3月6日、国内外の製造業に衝撃が走った。シャープが、韓国Samsung Electronics社の日本法人であるサムスン電子ジャパンから約104 億円の出資を受け入れると発表したのだ。シャープは出資後の議決権ベースで3.08%の新株式を発行する(総発行株式数ベースで3.04%)。同社は以前からSamsung社に液晶パネルを供給してきたが、今回の資本提携により協業関係をさらに強化する。具体的には、大型テレビ向け液晶パネルおよびノートパソコンなどのモバイル機器向け中小型液晶パネルを長期的、安定的かつタイムリーに供給するという。

 シャープと言えば、中小型液晶パネル事業の大顧客として米Apple社を抱える。そして、そのApple社と盟友関係にある台湾Hon HaiPrecision Industry社(Foxconn)との資本・業務提携を2012年3月に締結している。このApple、Foxconnの双方にとって最大のライバルといえるのが、他ならぬSamsung社なのである。シャープは、対立する2陣営と資本面で手を組むという荒業に出たのだ(図)。

出資期限が近付く

 とりわけ、シャープとFoxconnの関係は、この1年、エレクトロニクス業界における話題の中心だったといっていい(表)。シャープが2012年3月にFoxconnと締結した資本・業務提携の骨子は大きく2つある。

 1つは、Foxconnがシャープの堺工場での液晶パネルの生産・販売を担うシャープディスプレイプロダクト(SDP)の全株式のうち、シャープ保有分(92.96%)の半分に当たる46. 48%を取得すること。もう1つが、Foxconnがシャープ本体に約670億円を出資して、全株式の約10%を保有する筆頭株主になることだ。
〔以下、日経ものづくり2013年4月号に掲載〕

図●シャープをめぐる主な相関図
シャープと韓国Samsung Electronics社が協業関係を結んだことで、台湾Hon Hai Precision Industry社(Foxconn)の出方に注目が集まっている。
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表●シャープをめぐる最近の主な動き
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