インタロック構造で安全を実現する
最終回となる今回は、「安全確認型システム」について説明する。前回紹介したC社のリスクアセスメント事例でも重要な考え方として位置付けられていた通り、安全確認型システムは機械安全を実現する上で欠かせない要素の1つである。そこで、安全確認型システムの構成の原則と適用可能な対象を解説する。
「安全」の定義とアプローチの種類
安全確認型システムとは、安全であることを確認できたときだけ機械を動かすシステムである。たとえ稼働中でも安全であることを確認できなくなったら、直ちに機械を止める必要がある。では、そもそも「安全である」とはどういう状態を指すのか。
国際安全規格の策定・導入指針である「ISO/IECガイド51」において、安全は「受け入れ不可能なリスクがないこと」と定義されている。リスクのレベルが受け入れ可能か不可能かは、危害の発生確率と程度(ひどさ)の組み合わせによって規定される。つまり、絶対安全(ゼロリスク)という概念はなく、機械から享受するメリットと残留リスクによるデメリットを照らし合わせて、コストなどとのバランスを取りながら許容可能なレベルまでリスクを低減することで安全を実現するという考え方である。
リスク低減の手段は、大きく2種類に分けられる。決定論的アプローチと確率論的アプローチだ。前者は機械の構造に基づいて安全を実現するアプローチ、後者は機械の信頼性に基づいて安全を実現するアプローチといえる。
故障の発生確率を小さくするなど機械の信頼性を高める取り組み自体は、確かに安全性の向上に有効である。しかし、どれだけ信頼性を高めても故障は避けられない。さらに、予期せぬ事象が発生する可能性も考えれば、高信頼化をもって十分とするのではなく、機械の構造に決定論的な(確率に左右されることのない)安全技術を組み込むことが重要である。
〔以下、日経ものづくり2013年3月号に掲載〕